文化財の修復工事
文化財の仕事がいよいよスタート。
これまで、何度か文化財に認定された仕事はこなしてきてが、
今回はこれまでとは、ちょっとスケールが違う。
全修復という形で、解体後に、再度すべて修復して立て直すというもの。
江戸時代に建てられた民家で、建具の枚数がかなりある。
完成までは、数年先。期間を分けて少しずつ修復していきます。
文化財は普段の作るとは違って、新しくするのではなく
元の物を忠実に作り直して残すという作業になるから、かなり時間がかかる。
長い道のりが、いよいよ始まった。
先ずは、土戸(蔵によく使われている開戸)の修繕から。
土が取れた骨組の状態。
グスグスで、強度がない。分解して強度を持たせます。
木舞と縄を取っていきます。
取るにも一苦労、使える木舞や縄は保管して、再度使用せよとのこと。
土を塗るから骨組は見えない。けど、文化財は元の形を残す仕事。
見えないからと言って妥協は駄目なんです、元の作り同じに。
次に分解、ホゾが切れないように注意。
この時に出た釘も残して、使えるものは再度使い回します。
組みなおす時に、元の位置が分かるようにマスキングテープで印、
こうしておかないと、元の形が再現できなくなります。
材木が腐って強度が保てない箇所は継木します。
一か所継木するだけで、あっという間に時間が過ぎてしまう。
新品ならすぐに完成してるのに、なんて気持ちがめげそうになりながらも、
確実に一歩一歩と進んでいきます。ホゾはもちろんオリジナルと同じ地獄ホゾで。
負荷がかかる箇所や、材木の状態などみて、継木の加工方法を
それぞれ工夫して直していきます。上の画像は蟻継。
部材を修復して組み立てです。よしよし、強度があるぞ。
次に左官屋さんにバトンタッチ、土を塗る工程に進みます。
今回は7枚の土戸修復ですが、かなりの時間を費やしてしまった。
まだ慣れたない作業、でも経験を積めばもっと早くできるようになる。
大変な仕事だけど、やりがいはすごいある。
数年先の完成まで、頑張ります。