昔スタイルの木製戸車
現在工事中の文化財の建具。
作られた年代の江戸時代後期仕様での制作です。
ここの建具を担当してもう5年目。
数多く、修繕していくうちに当時の建具屋のスタイルがだんだんと分かってきました。
今回は、新調なので1から作って行きます。
特徴的な作りをざっくり紹介します。
木製の戸車は調整が難しい。嵌めては削ってを繰り返し車輪部と軸部を整えていきます。
軸の制作、鉋で丸くしていきます。
軸の中心はぐすめに、建具枠の接合部になる箇所は固めに調整。
腰型面。
縦枠と横枠の接合部を立体にキレに見せる面ですが、結構脇役な技術。
でも、これ地味で難しい作業。
オンとなる横枠
メンとなる縦枠、どちらも接合部を45度に刻みます。
やっかいなのが、四方が上手くいくかは最後の組んだ時にしかわからない事。
一発勝負だから組むまでドキドキ。
枠に組み込む杉板は剣剥ぎといって、オンとメンとをそれぞれ作り剥ぎわせて一間の板にします。
組んでしまえば、この加工あまったく見えない。
機能的には板の伸縮に合わせた技法でよくできている。
見せる技術ではなく、機能的な技。
杉板を一間にして、横桟を打つために蟻をつけます。
吸いつけ桟といって、横から差し込めば板の反り止めになる工夫です。
最後に、ホゾに打ち込む楔を作ります。
材は本体の材よりも固い気を使います。
接着剤がなかった時代の技術。
組んだらこんな感じで、かなり丈夫になる。
パーツの加工が終わり組む前に、古色塗りをしておきます。
蟻桟を入れていきます。
楔を打ち込む瞬間、これを打ち込むともう外せない。
腰型の一部面、どうにかうまく行きました。
建付け時、戸車もスムーズに動いてくれて一安心。
作るたびに思うけど、これを手道具だけで作るなんて、すごすぎる。